保存対象のデータ
1944年創業の明星工業株式會社は、産業に不可欠な熱絶縁工事を専門とする建設会社です。
マイナス253℃~2000℃まで対応できる断熱技術で、電力やガス、石油エネルギー関連設備の安全と省エネルギーに貢献しています。
80年を超える事業で培った知見や記録、技術が詰まった資料をデータ化し活用するために、broxを導入しました。
検索性はもちろんのこと、セキュリティやコストの面でも課題をクリア。大変満足してお使いいただいています。
初めに貴社の事業内容を教えていただけますでしょうか
高橋さん:
当社は1944年に大阪で創業した建設会社で、熱絶縁技術を主軸とし主にエネルギー産業分野に貢献しています。
マイナス162℃のLNG(液化天然ガス)タンクから2000℃の工業炉に至るまで、発電所や化学プラント、LNG関連施設に代表される工業設備の断熱工事を行い、熱効率を上げて省エネを図ると同時に、安全を確保する役割を担っています。
北海道から沖縄まで37の営業所のほか、浜松市には断熱関連工事で使用するさまざまな材料を研究・開発・生産するための中央研究所と工場があります。
また、日本国内だけでなく、海外のエネルギー資源施設においても多くの断熱・耐火工事の実績があります。
近年は、環境関連事業にも注力しており、2025年3月期の売上高は単独で458億円でした。
80年を超える事業で培った断熱技術や開発のノウハウをお持ちなのですね。broxを導入することになった経緯を教えていただけますでしょうか
勝原さん:私が所属する東京技術課は、施工要領書や品質管理記録といった図書(図面を含む建設関連の資料全般)の作成を行います。
作成した図書は、竣工後も客先や営業所からの問い合わせ対応などで使用します。書庫では過去の工事の仕様書や報告書、試験結果なども含め、膨大な図書を紙ファイルで保管しています。
1970年代のものもあり、場所を取る上、必要な情報をすぐに探し出せない点が課題でした。
2年ほど前、図書を全て電子化することになり、スキャンしてファイル名を付けてフォルダ保存し、エクセルの一覧表にリンクを張る方法で電子化を始めました。
高橋さん:ところが東京技術課だけで数十万枚もあり、この方法では電子化するための作業に膨大な時間がかかる上、ファイル名での検索しかできないため、私が所属するITタスクチームで、より効率的に電子化して図書管理・検索ができるシステムを探すことになったのです。
そこでbroxを見つけてくださったんですね
高橋さん:実はbrox以外にも、さまざまな図書管理システムを調べたりトライアルを行ったりはしていましたが、なかなか導入に至らない状況でした。引き続き資料請求しながら探している中、展示会でbroxに出会ったんです。
希望条件を満たしていましたでしょうか
高橋さん:はい、第一は私たちが希望する全文検索機能があったことが導入の決め手になりました。
西田さん:資料請求で探していた時に、ファイル名だけでなく、文書中の文字列でも検索できる製品はないかと思っていたんです。
勝原さん:サーバーを自社に置くオンプレミス版があったのも決め手の一つですね。必須条件ではなかったものの情報漏えいのリスクが低く、セキュリティ面でより安心して図書を保存できています。
高橋さん:クラウド版と比較しても、長期的なコストを考えるとサーバーを導入した方がいいということになり、オンプレミス版にしました。broxはコストを含めた総合的なバランスが当社のニーズに合致していました。
導入前はどのようにして図書を探していたのでしょうか
勝原さん:導入前は、内容を知っていそうな社員にまず聞いてから書庫に入っていたんです。
「この材料はどの案件で使っていたか」や、「〇〇の案件ではどの材料を使っていたか」など、担当者の記憶を頼りに書庫のファイルを探していました。
西田さん:pdfが世の中に浸透する約20年前までは図書は全てプリントアウトして、ファイリングしていましたからね。
pdfデータで残せるようになってからも、フォルダの階層をたどってファイル名で検索するのは時間がかかるので途中で諦めてしまい、知っている人に聞く、という探し方でした。
導入して半年が過ぎましたが、いかがでしょうか
高橋さん:書庫にある図書は、当社の都合でbroxに流し込む前に一手間挟んでいるため、進捗状況は全体の1/3ですが、当初の目的は果たせています。
劣化していく紙資料をデータ化できて、検索もしやすくなって満足しています。
流し込みもあと数カ月で終わる予定です。案件の調査や社内の情報共有においても活用の幅が広がりました。
西田さん:検索スピードが格段に速く、手書き文字も認識してヒットするAI-OCRの精度の高さがすごいと思います。まずは人に聞こうから、まずは検索してみように変わったのは大きな収穫です。
勝原さん:検索したキーワードがハイライト表示されて、クリックひとつで該当ページに移動できる点も、とても分かりやすく使いやすいと感じています。
逆引き検索のように材料からも探すことができ図書を探す時間が大幅に短縮されて、業務効率が明らかに向上しました。感覚として少なくとも30分はかかっていたものが5~10分になりました。
業務効率化のお役に立てて何よりです。今後ほかの部署でも活用できそうでしょうか
高橋さん:図書の電子化はまず東京技術課で先行し、broxでどのように管理、運用するかなどを試して、方針を決める計画です。
東京技術課をモデルに、大阪技術課や中央研究所にも展開しようと考えています。
勝原さん:私が以前所属していた調達にかかわる部署でも使えそうです。
例えば、注文を受けて材料を調達する際、材料名や発注先を特定するのに時間がかかるという課題がありました。
broxに材料カタログや過去の注文書データを入れておくと、そのような課題が解消され、新入社員でもスムーズに業務が進められるようになると考えています。
結果として、部署全体の生産性向上につながると思います。
インフォディオへのご要望はありますでしょうか
西田さん:broxに入れる膨大なデータを検索以外にも活用できるとうれしいです。
検索だけで終わらせるのはもったいないので、生成AIのデータソースになってくれると活用の幅が広がります。
会話文で質問できるなどのバリエーションが広がるといいですね。
高橋さん:生成AIツールはいろいろなものを試していますが、中には自社データをソースとした場合、回答生成に時間がかかるものもあります。
broxはこれだけ多くのデータを入れても検索スピードが速いので、broxでできるようになるとありがたいですね。
貴重なご意見ありがとうございます。データ活用の可能性が広がる機能を付加できるよう、開発部に連携します。今後の貴社の目標を教えていただけますか
高橋さん:当社としてはこれからも断熱技術を通じて社会に貢献し、さらなる業務効率化と技術力の向上を図りながら、業界をリードしていくことを目標としています。
そのために、まずは東京技術課でbroxを導入した目的を完結させたいです。
書庫にある図書について当時を知る人が少なくなっていきますし、人事異動等で担当が変わることもあります。今後入ってくる社員が先輩社員に聞かなくても必要な資料を探し出し、業務に活用できる体制を作っていくことが目標です。
図書はすべてbroxに保存してデータを貯めていき、「分からないことはbroxで調べたら出てくる」という状態にしたいです。
明星工業さまの蓄積された貴重な技術や知見を最大限活用できますよう、私たちも開発を進めてまいります
※インタビューの内容は取材時のものになります。
保存対象のデータ